
「Excelで計算したら、114.18159…って、こんな長い数字出たんですけど!?どうすれば…」



「落ち着いて、それは“端数”ってやつだね。数字が小数点以下まで出てくるときは、“丸める”のがポイントだよ。」



「え、手作業で四捨五入すればいいんですか?まさかExcelがそんな機能なんて…」



「もちろんROUND関数っていう魔法の関数があるんだよ。これを使えば、四捨五入も切り捨ても、切り上げだって自由自在!」
Excel初心者がまずつまずくのが、この「端数処理」。小数点以下の数字をどう扱うかで、計算結果も見た目も大きく変わります。筆者自身も、入社直後に「計算結果が1円ズレる!」と上司に怒られ、なぜズレたのかパニックになった苦い記憶があります…。
この記事では、そんな初心者の「困った」を解決するために、ROUND関数をはじめとした“丸め”関数を徹底解説します!


- 四捨五入って何?ExcelのROUND関数でできること
- Excelで端数を切り捨てるROUNDDOWN関数の使い方
- Excelで端数を切り上げるROUNDUP関数の使い方
- ROUND・ROUNDDOWN・ROUNDUP関数の違いと使い分けポイント
- 丸め計算のよくあるミスと失敗しないためのコツ
四捨五入とは?ROUND関数で小数点を丸める基本
このセクションでは、Excelで四捨五入(5以上で切り上げ、4以下で切り捨て)の基本と、ROUND関数の使い方を解説します。小数点が長い数字も、ROUND関数を使えばあっという間にスッキリ表示できます。
ROUND関数とは?
ROUND関数は、指定した桁数で数値を四捨五入するExcelの関数です。計算結果に小数点以下の端数が出たときに、四捨五入のルールで綺麗な数値に整えてくれます。例えば「3.6」を0桁で四捨五入すれば「4」に、「3.4」を四捨五入すれば「3」になります。


- 四捨五入したい値が入っているセルを選び、結果を表示したいセルに「
=ROUND(
」と入力します。 数値または参照セル
を指定し、「,」(カンマ)に続けて桁数
を指定します。小数点以下第2位まで残すなら「2」、整数にするなら「0」のように設定。- Enterキーを押すと、指定桁数で四捨五入された値が表示されます。
ROUND関数で小数点以下を丸める例


具体的に試してみましょう。例えばセルA1に「3.14159
」と入っている場合、小数点以下第2位で四捨五入するには、セルB1で「=ROUND(A1,2)
」と入力します。すると結果は「3.14」になり、綺麗に小数点以下が2桁に丸められます。同様に桁数を0にすれば「3」に、桁数を3にすれば「3.142」のように目的に応じた丸めが可能です。
やり方:
- 四捨五入したい値があるセル(A1とする)を用意します(例: 3.14159)。
- 別のセルに「
=ROUND(A1, 0)
」と入力してEnterキーを押します。 - セルA1の値が小数第3位で四捨五入され、小数点以下2桁の「3.14」と表示されます。



「表示では四捨五入されてるのに、なんで計算結果がズレるんですか!?エクセル、嘘ついてません!?」



「落ち着いて。それは“表示だけ”丸められてて、実際の数値はそのままだからなんだよ。表示形式は見た目だけで、計算の中身は変わってないのがExcelの仕様なんだ。」



えっ、じゃあ見た目通りに計算してくれないんですか!?」



「うん。だからこそ ROUND 関数を使って、ちゃんと“値そのもの”を丸めるのが大事なんだよ。」
端数を切り捨てる!ROUNDDOWN関数の使い方
金額計算などで「端数は切り捨てで」と言われたら、ROUNDDOWN関数の出番です。このセクションでは、Excelで小数点以下を切り捨てる方法を紹介します。四捨五入とは違い、どんな数字でも必ず切り捨てになる点がポイントです。
ROUNDDOWN関数とは?
ROUNDDOWN関数とは?
ROUNDDOWN関数は、指定した桁数で数値を切り捨てにするExcel関数です。四捨五入との違いは、次の位の数字に関係なく常に端数を切り捨てること。例えば「7.9」を0桁で処理しても結果は「7」のまま(四捨五入なら「8」)です。


切り捨てたい数値があるセルを選び、別のセルで「=ROUNDDOWN(
」と入力します。
数値または参照セル
を指定し、「,」に続けて桁数
を入力します(小数点以下をすべて切り捨てたい場合は「0」)。
Enterキーを押すと、指定桁数で端数が切り捨てられた値が表示されます。
ROUNDDOWN関数の活用例
切り捨ては「計算結果が上振れしないようにしたい」ケースで便利です。例えば予算管理で、小数点以下の金額は請求せずサービスにする場合、=ROUNDDOWN(金額,0)
で余計な端数を除けます。また「3.14159」をROUNDDOWN(3.14159,2)
とすれば「3.14」のように小数点以下を好きな桁でばっさり切り捨てできます。


- ROUND関数の時と同様に、A1に「
3.14159
」があれば「=ROUNDDOWN(A1,2)
」で「3.14」のように任意の桁まで残して切り捨て可能です。



「さっきINT使って切り捨てたら、-7.9が-8になったんだけど、え?ってなった…」



「あるある!INT関数は常に“より小さい方”に丸めるから、マイナスの数だと余計に引かれちゃうのよ」



「えっ、じゃあマイナスの時だけ挙動違うの?Excel怖い…」



「ROUNDDOWNならどんな符号でも“0に近づく方向”に切り捨ててくれるよ。安定した切り捨て処理はROUNDDOWNが安心!」
端数を切り上げる!ROUNDUP関数の使い方
「少数でも切り上げて多めに見積もっておきたい」そんな場面ではROUNDUP関数が役立ちます。Excelで小数点以下を繰り上げて処理する方法を見てみましょう。どんな端数も強制的に切り上げするので、余裕をもった数値を得ることができます。
ROUNDUP関数とは?
ROUNDUP関数は、指定した桁数で数値を切り上げにするExcel関数です。次の位に関係なく、少数でも端数があれば繰り上げます。例えば「5.1」を0桁で処理すると「6」になり、「5.9」でも同様に「6」になります(通常の四捨五入ならどちらも「5」)。


- 切り上げたい値が入ったセルを選び、他のセルで「
=ROUNDUP(
」と入力します。 数値または参照セル
を指定し、「,」に続けて桁数
を入力します(例: 整数にするなら「0」)。- Enterキーを押すと、端数が切り上げられた値が表示されます。
ROUNDUP関数の活用例
切り上げは「不足が出ないように多めに確保したい」ケースで威力を発揮します。例えば在庫や作業工数の計算で端数は繰り上げて確保すれば、見積もり不足の心配が減ります。12個入りの箱に製品を詰める場合、製品が13個なら=ROUNDUP(13/12,0)
で「2」箱が必要と計算できます(通常の割り算では1.08箱なので1箱と誤認してしまう恐れあり)。


- こちらも円周率をROUNDUP関数で処理してみると桁数ごとに数値がバラバラなことがわかります。
以下のような場合にはおすすめです。
- 例: ある作業を8人で行うとして、見積もり工数が「
5.3
」人月だった場合を考えます。 - 全員がフル稼働でも5人では足りないので、
=ROUNDUP(5.3,0)
で切り上げて「6」人分の要員を用意します。 - このように、端数を繰り上げておけば人数や資材が不足して失敗するリスクを減らせます。



「5.1人分の工数って…人って割れるの?上司に『分身でもするのか?』って言われたよ〜」



「それは素直にROUNDUPで切り上げとこう(笑)少しでも不足すると困る作業では“多めに見積もる”が鉄則!」



「でもさ〜、いつも切り捨てにしてる先輩がいて…真逆の結果になって焦ったんだよね」



「丸め方がバラバラだと、同じ計算でも答えがズレるからね。
ROUNDUPは『余裕を持つ』前提で使うのがコツだよ」
ROUND・ROUNDDOWN・ROUNDUPの違いと使い分け
ここまで3つの丸め関数を見てきましたが、それぞれ結果がどう変わるかしっかり押さえておきましょう。このセクションでは、ROUND系関数の違いを比較しつつ、シーンに応じた使い分けのポイントを解説します。
3つの関数の丸め方の違い
まずは基本ルールの違いをまとめます。同じ数値でも関数によって結果が異なります。例えば「5.4」という数値を0桁で処理する場合は


一方「5.6」では、


このように、ROUNDは値により切り捨てにも切り上げにもなりますが、ROUNDDOWNは常に切り捨て、ROUNDUPは常に切り上げと覚えましょう。また、ROUNDは「5」で切り上げますが、ROUNDDOWNとROUNDUPは5に限らず少数がある限り結果が変わる点も違いです。
どの丸め関数を使うべき?
では、どんな場面でどの関数を選ぶと良いでしょうか。以下に目的に応じたおすすめの使い分けをまとめました:
- 見やすく丸めたい:レポートや資料で小数点を丸めたい場合はROUND関数が基本。数値を綺麗に整えて表示できます。
- 超過を防ぎたい:予算や料金計算で1円でも多く請求しない方針ならROUNDDOWN関数が安心。常に端数を切り捨てて計算できます。
- 不足を防ぎたい:在庫や見積もりで足りなくなると困る場合はROUNDUP関数が活躍。端数を繰り上げて余裕を持った数を確保できます。



「同じ金額計算してるのに、なぜか僕のExcelだけ1円ずれるんだよ!バグ!?」



「うん、それ“バグ”じゃなくて“関数の違い”だね。ROUNDなのかROUNDDOWNなのか、指定した関数によって結果が変わるんだよ」



「そんなに違うの?ちょっとくらい四捨五入してくれれば…」



「だからこそ使い分けが大事。請求ではROUNDDOWN、見積もりではROUNDUP、レポートにはROUNDって使い分けるのが王道!」



「今まで“数字=正解”だと思ってたけど、正解にもいろいろあるんだな…」
よくある落とし穴と誤差の原因を防ごう!
最後に、初心者がやりがちな丸め計算のミスと、その対策を確認しましょう。正しく理解しておけば「なんで計算が合わないの!?」という事態を防げます。
表示形式の丸めに要注意!
Excelの「小数点以下の表示桁数」を調整すると、見た目上は四捨五入された値が表示されます。しかし実際の値は変わっていないため、後続の計算でズレが生じることがあります。例えば、セルA1に「659.28」と入力し小数点以下を非表示にすると見た目は「659」ですが、この値を2倍すると実際には「1318.56」と計算され、表示上「1319」となって1円の差が生じます。
丸めるタイミングの違いにも注意
どのタイミングで丸め処理を行うかでも、結果に差が出ることがあります。簡単な例では、2.4 + 2.4 を計算する場合、各値を先に0桁で四捨五入すると 2 + 2 = 4 ですが、合計してから四捨五入すると 4.8 → 5 となり結果が1つズレます。このように、個々に丸めるか合計後に丸めるかで合計値が異なるため、特に金額計算では統一したルールが必要です。



「まただ…合計金額が1円だけ合わない!なんで!?」



「それ、“表示だけ”丸めて中身が丸められてないパターンかも。Excelの怖いとこだよ」



「表示が“3”だったのに、計算で使ったら“3.49”扱いになっててズレてたんだよ…」



「表示形式と実際の値は別物。計算で使うならROUND系でちゃんと数値自体を丸めようね」
いかがでしたか?四捨五入・切り捨て・切り上げのROUND系関数をマスターすれば、もう小数点が怖くなくなります。長い数字に頭を悩ませたり、計算が合わずにドキッとしたりする失敗ともオサラバできるでしょう。ROUND関数たちを使いこなして、初心者を脱出!これであなたも丸め計算の達人への第一歩です。
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